節税!フリーランス美容師はなにがどこまで経費計上できるの?

フリーランスの美容師になると自由に働ける反面で、経費の計上や確定申告など少しめんどうに感じる事務作業が必要です。ですが、確定申告時に経費を申告することで、大きな節税になります。美容師は消耗品などの備品も多い職業。特に美容室経営者であれば、店舗の家賃や光熱費も経費として落とせます。そこで今回は、フリーランス美容師がチェックすべき経費で落とせる項目についてご紹介します。

 

そもそも経費とは?

普段仕事をしている中で何気なく使っている「経費」。これはフリーランスになってからより重要なものになります。経費とは、収益を出すために必要な費用のことです。

例えば美容師であれば、ハサミを持っていないと商売になりませんよね。ハサミ購入時に発生した費用は「経費」と見なされます。このように仕事に必要なものの購入・サービス利用料を経費として計上することができるのです。また、ものだけでなく契約費として払った費用ももちろん経費として計上することができるのです。つまり「経費で落とす」ということは「必要経費として税務署に申告する」という意味を示します。経費とは「仕事に必要なものの購入・契約費」と覚えておき、確定申告時に経費計上しましょう。

 

経費計上すればどんなよいことがあるの?

フリーランスの美容師も、備品の購入費を経費として扱うことで節税できます。税金は収入から必要経費を引いた「所得」に税率をのせたもの。そのため、所得が低ければ低いほど、課せられる税金は低くなります。税率は所得によって異なりますが、例えば所得195万円から329.9万円までで10%、330万円以上694.9円までで20%の税率がかかります。稼げば稼ぐほど収める税金は上がるため、少しでも手元に収益を残したい方は、経費計上を確実に行いましょう。

 

フリーランスの美容師が経費計上できるもの

フリーランスの美容師でも経費で落とせるものはいくつもあるので、事前に把握しておきましょう。それではさっそく、面貸しなどすべてのフリーランスの美容師が経費で落とせる項目をご紹介します。

 

消耗品

カットやパーマ、カラーにシャンプーなど施術に必要な消耗品はすべて経費として落とせます。美容師の業務では、シャンプーやリンス、各薬剤、シザーやカミソリ、タオル、消毒液などです。

宣伝費や広告費

集客のための、宣伝・広告費もすべて経費扱いです。主に以下のような費用のことをさします。ホームページの作成、ポータルサイトへの登録、ポスティングにかかる費用などが対象です。

件費や、SNSから集客するためのコンサル費も経費として計上しましょう。

ユニフォーム

術の際に使用するユニフォームも経費として認められます。しかし、私服のようなユニフォームはグレーゾーン。ユニフォームを導入したい方は、第三者の目から見てもユニフォームであると判断できるデザインを選ぶ必要があります。

セミナー費

技術・サービス向上のための勉強費やセミナー代も経費として認められています。授業料だけでなく、セミナーが開催される現地への交通費や宿泊費なども経費計上可能です。数万円単位でかかる遠征費も経費になるので必ず領収書を控えておきましょう。

 

フリーランスの美容師が経費計上できないもの

施術に必要な備品や消耗品など経費計上できるものが多い印象のフリーランス美容師。ですが、先述したようにユニフォーム以外の衣類など、経費計上できないものもあります。

 

自宅兼店舗の家賃・光熱費の全額

自宅兼店舗の場合は生活費も含まれているため、家賃や光熱費の全額を経費として扱うことはできません。経費として計上できる家賃・光熱費の割合は、自宅と店舗の面積割合によって決まります。店舗が賃貸の面積の20%であれば、計上できる金額は20%といった具合です。

高額備品は一括計上できない可能性がある

美容室経営に必要な備品が30万円を超えると、経費として一括では落とせません。この場合「一括償却資産」として3年に分けての経費計上ができるのでご安心ください。30万円を超える備品の購入は、一括で経費計上できないことを覚えておきましょう。

 

独立して美容室を経営すると、経費計上できるものがさらに増える。

フリーランスの美容師のなかには、面貸しだけでなく独立して美容室を経営する方もいるでしょう。そこでここでは、美容室経営のさいに発生する経費をご紹介します。先述したものとあわせてチェックしてみてください。

 

美容室経営のための保険料

店舗にかけている保険料も経費として計上可能です。店舗の経営では火災保険やそのほかの災害保険、盗難やクレーム被害などの損失に備えて保険に加入することが多々あります。これらの保険料は年間にすると数十万円〜数百万円。これらを申告することで、大幅な節税対策になります。

店舗の修繕費

店舗や備品の修繕費用も経費として計上しましょう。修繕費の基準は修理・改善費が20万円未満であることです。床・クロスの貼り替えや屋根・外壁・窓・ガラスの修繕が該当します。上記のほかにも条件を満たせば、業務用パソコンの修理費なども認められるでしょう。

家賃や光熱費

美容院を経営するにはテナント料や家賃、水道代などの光熱費が必要です。これらもすべて経費として計上できます。毎月発生する高額固定費のため、確実に計上したいところです。

 

経費計上するためには具体的に何をすればいいの?

ここまで、経費として扱える項目をご紹介しました。最後に、確定申告で経費として申請するために必要なことをご紹介します。

経費帳・出納帳の作成

経費帳とは、消耗品や水道光熱費、広告宣伝費などの勘定項目ごとに記載した記録帳です。美容師に関わらず、フリーランスや個人事業主が行う確定申告には経費帳の作成が義務付けられています。経費帳の内容は事業の家計簿である「現金・預金出納帳」に記載した内容を転記するため、出納帳も一緒に作成しておきましょう。経費帳は、ノートへ手書き以外にもエクセルなどのデータなどで管理可能です。決まったフォーマットはなく、手書きにしてもデータにしても書き方や必要な項目はネット上から集められます。「経費帳 フォーマット」などで検索してみましょう。

レシート・領収を保管する

経費帳へ記入する項目は、レシートや領収書が手元にあることが条件です。そのため、消耗品のレシート・光熱費の領収書・Webサイト作成時の領収書などは、受け取ったあとはしっかり保管しておきましょう。また、領収書の保管期間は5年〜7年。保管期間内に税務調査が入った際は、提示する必要があります。

確定申告の期日は厳守

毎年2月中旬〜3月中旬ごろの確定申告の期日は厳守しましょう。3月中旬の締め切りをすぎると、「青色申告特別控除」で最大65万円受けられる控除が10万円に減額されます。せっかく1年間続けた節税も水の泡に。はやめの申告がおすすめです。

 

年度末に確定申告をしよう

本記事では、フリーランスの美容師が経費で落とせるものをご紹介してきました。美容室経営者はもちろんのこと、面貸しのフリーランス美容師も経費で落とせる項目はさまざまです。しかし、経費として扱うためにはレシートや領収書を確実に保管しておく必要があります。また、確定申告には経費帳の記入、レシート・領収書の保管も必須です。税務調査が入ったときに慌てることのないよう、こまめに記入しておきましょう。

 

経費計上に便利なツール3選

ここでは、経費計上に便利なクラウドツールを3つご紹介します。手間をかけずに確定申告したい場合は、はやめに導入し経費管理の手間を減らしましょう。

マネーフォワードクラウド経費

マネーフォワードは個人・法人に向けたウェブサービスを展開している会社です。法人だけでなく、フリーランスや副業など個人の方も利用できるサービスが魅力。「マネーフォワードクラウド経費」は、仕訳の自動入力・確定申告に必要な書類の自動作成・アプリとの連携など、便利な機能が充実しています。登録後1ヶ月は無料で利用でき、継続の場合には個人事業主向けのプランが3つ用意されています。価格は、年額9,600円(800円/月)〜年額35,760円です。マネーフォワードのクラウド経費以外のソフトと連携することで、経費計上の効率化だけではなく確定申告まで一貫してスムーズに行えます。事業拡大時にも重宝するソフトのひとつです。

弥生クラウド青色申告ソフト

弥生株式会社は、主にビジネスソフトウェアを開発している会社です。2020年3月までの登録ユーザー数は200万人以上と人気を高めています。「弥生クラウド青色申告ソフト」は、個人事業主の方のためのソフトです。個人に特化しているため、はじめての方でも使いやすいシステムが構築されています。また、すべての機能が使えるセルフプランは初年度0円。「とりあえず導入してみようかな」という方も気軽に取り入れられます。次年度も年間8,000円とお手頃価格です。もちろん、確定申告に必要な帳簿の作成・入力もかんたんです。自動入力機能もあるため、手作業も少なく済みますよ。

freee会計

アプリレビューが平均点4.5点と、既存ユーザーから高い支持を受けているのが「freeee会計」。freeeeは、法人・個人に向けた事務管理ソフトを開発・運営する会社です。「freeee会計」では、月額980円〜3,316円までの3つのプランから選択可能。スタンダードプランなど1,980円以上のプランには、銀行口座・クレジットカードの取り引きをすべて自動入力してくれる「入金・支払いの管理」の機能が備わっています。顧客からの支払いや備品購入などをキャッシュレスにすることで、手入力の手間がありません。確定申告の書類提出まで誘導してくれるため、2・3月の事務作業も最小限に抑えられますよ。

 

会計ソフトを上手に使って経費管理を楽にしよう

聞き慣れない言葉ばかりで、後回しにしがちな経費管理。ですが、会計ソフトを利用することで最小限の労力で事務作業が行えます。多少の出費はありますが、月々1,000円〜2,000円程度で本業である美容師業に集中できる環境が作れますよ。2・3月の確定申告の時期に、泣く泣く書類整理することのないように今から準備しておきましょう。初年度無料のソフトも登場しているため、一度トライしてみてはいかがでしょうか。